読書記録

読んだ本など

バースデイ・ブルー

長年の愛読書、サラ・パレツキーのV.I.ウォーショースキーのシリーズのうちの一冊。


家にシリーズが10冊ほどあり、ほとんど大学時代に揃えたもの。分厚いので、後半は読んだかどうかもあやしい。初期の短編集だけは読みやすく、繰り返し読んでいる。凍りつくシカゴの冬の朝にランニングする場面が好きだ。(北海道の比ではない様子)


休日に本棚を見て、「すぐに読まなきゃならない本はない」と思い、読みたい本を読むことにした。

いわゆるハードボイルド・ミステリであり、異色なのは、主人公のヴィクは女性で、かなりタフ。格闘技の達人で、社会活動家や弁護士の過去があり、美人で、離婚歴がある。一人で探偵事務所を経営し、銃を携行して無謀な潜入調査をし、殴られたり入院したりしながら社会の巨悪に挑む。とにかく弱者のために徹底的に怒る人で、協力してくれる友人は多いが、ほとんどの事件で一人で判断し一人で動く。数ページ読むだけで「ひょえー」と思う現実離れした設定だが、陳腐にならないのは、登場人物の欠点や悩みを余さず描くから。ヴィクは、ほとんどの物語に登場する女性に見られるような女性らしさは削ぎ落とされ、無骨な勇敢さが剥き出しの人である。それが好きだ。現実にこういう人は多いのに、物語の中でほとんど描かれないのは残念で、それだけに大学の頃、ヴィクは憧れだった。猪突猛進のヴィクを諌める年長の友人とのやりとり、葛藤もいい。

こういう本は心強い勇敢な気持ちにさせてくれるが、何をすればいいかわからないので、とりあえずランニングするかーと思う。


バースデイ・ブルーをめくると、読んだことがない気がした。これから読む。